産学官連携成果

産学官連携成果

 産学官連携・知的財産活動に係る成果事例について、以下の分類ごとに選定し紹介しています。
  分類A: 特許のロイヤリティ・ 特許の商品化・寄付講座・ベンチャー設立
  分類B: 地域活性化、町おこし・地域資源活用・産業拠点形成
  分類C: 大型外部資金
  分類D: 人材育成 

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事例紹介

成功事例分類
分類B:地域活性化、町おこし・地域資源活用・産業拠点形成
タイトル
環境エネルギーの有効利用に資する新規創エネルギーシステムの開発
サブタイトル

氏名
加藤 岳仁
学校名
小山工業高等専門学校
所属学科等
機械工学科・複合工学専攻科
職名
講師
プロフィール写真
共同研究者

・栃木県 小山市 環境課

・民間企業3社


本文
1.研究背景
 エネルギー起源による温室効果ガスの増大は地球温暖化を促進し、世界各地に様々な影響を与えている。国内では「京都議定書」に批准し、1990年比-6%の削減計画を立て、地方自治体を含め、個別の取り組みを実施している。また、一般家庭においても住宅の屋根に設置した太陽光発電パネルによる、自家発電による自然エネルギーの利用が高まってきている。しかし、一般的に用いられているシリコン系太陽電池は製造コストの観点から、その普及率が十分では無い。一方、種々の産業(事業所)から排出されるガス排熱は年間250petacal程度であり、その排熱の8割以上が200℃以下の低温排熱であり、更にその9割以上の150petacal以上の膨大なエネルギーが外界へ排出されている。
 我々の研究グループは上記課題の解決と産業排熱の有効利用を目的として、太陽光と低温排熱を利用した新規創エネルギーシステムを提案している。本システムは例えば、プラントに設置されたガス排出パイプの外周にフレキシブルな熱電変換シートと太陽光発電シートとして複合的に配置することにより、産業排熱と太陽光を有効に活用することができる。また、全塗布プロセスを用いることが可能であるため、既存の太陽光発電パネル等に比べ、製造コストの大幅な低下が期待できる。更に、軽量のフレキシブルシートであるため、設置場所が限定されることなく、既存の設備に設置することが可能である。本研究グループでは電力変換シートに用いる有機無機複合電力変換機能層の高効率化及び高耐久化を中心に検討を行っている。


2.有機無機複合光電変換シート
 環境への負荷が少ないクリーンエネルギーの一つである太陽電池の中でも、製造工程に真空プロセスや高圧プロセスを必要としない近未来の太陽電池の一つとされている有機薄膜太陽電池の構造をベースにした高効率、高耐久が実現できる新しいタイプの有機無機ハイブリッド太陽電池の開発を行っている。光を吸収する発電層の色を自在に変えられることや、窓や壁に塗ることができる特徴を持っており、透過率を変化させることも可能である。更に本研究の成果を発展させ、有機無機ハイブリッド材料を発電層とした新コンセプトの太陽電池の開発にも力を入れている。

  図1 有機無機複合光電変換シート
         図1 有機無機複合光電変換シート

3.有機無機複合熱電変換シート
 産業副産物を発電層主成分とした有機無機ハイブリッド材料によるスピンゼーベック熱電変換素子の開発を行い、産業排熱の有効利用に資することを目指している。発電層の形成が塗布により行えること、また発電層面積に比例して出力が増加することなどの特徴を有しており、共同研究企業の協力のもと、更なる高性能化を目指している。有機材料と無機材料の成分比や複合物を変換させることにより透過率等を変化させることも可能であり、従来の熱電変換素子の概念を払拭する新しいタイプの熱電変換モジュールの開発も行っている。

  図2 有機無機複合熱電変換シート
         図2 有機無機複合熱電変換シート

4.今後の展開
 再生可能エネルギー普及拡大の鍵を握るのが低コスト、低CO2排出であり、本研究グループによる有機無機ハイブリッド材料によるプリンタブルな発電デバイスの開発が実現すれば、資源的制約も少ないうえ、大面積化や高速印刷製造が容易であり、大幅な低コスト化が期待できる。現在、産官学の連携により、本技術の市場展開を目指している。

  図3 排熱による発電試験の様子
         図3 排熱による発電試験の様子

添付
特許出願番号
特願2013-59745
意匠登録番号

電話
0285-20-2204
E-Mail
Kato_t*oyama-ct.ac.jp
ホームページ
http://www.oyama-ct.ac.jp/M/kato/
掲載年度
2015年度