注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

GEAR5.0(研究成果の社会実装を通じた技術者教育の高度化)についてこちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
環境・エネルギー
分類

タイトル
水/セラミック電極によるアスベストのその場溶融無害化技術
氏名
出口 幹雄
学校名
新居浜工業高等専門学校
所属学科等
電子制御工学科
職名
教授
プロフィール写真
概要
水/セラミック電極による放電では、本来は絶縁物のセラミック材料が局部的に溶融して放電電極として働くという現象が起きます。単純な構造の装置で高々数kWの放電で高融点材料を容易に溶融できるという特長を利用し、アスベスト含有建材等の有害廃棄物を建物の解体の際にその場で溶融無害化する技術を開発しています。
本文
<その場で溶融して効率・安全性アップ>
 アスベストが建材として用いられた建築物の解体のピークは2020年~2040年頃にやってくると言われています。水/セラミック電極による放電では、水面上のセラミック材料が溶融し、本来は絶縁物でもこれが放電電極として働くという現象が起きます。簡単な装置で高々数kWの放電を起こすだけで、融点2000℃以上の材料も容易に溶融できるという特長を用い、アスベスト含有建材等を建物の解体の前にその場で溶融無害化する技術を開発しています。大型の溶融設備を必要とする従来の処理方法に比べエネルギー効率において優れ、作業に伴う危険を緩和することができる画期的な処理技術として期待されます。

そのままでも融かせる・なんでも融かせる
 装置構造が簡単で、2本の水電極を処理対象に近づけて放電するだけで溶融処理ができるため、例えば、天井に敷設されたアスベスト含有建材は、剥離除去せずにそのままの状態でも溶融が可能です。このため、剥離除去プロセスに必要とされる厳重な飛散防止措置を大幅に簡略化することが可能になります。また、コンクリートや耐火レンガ等、どんなものでも溶融することが可能です。

ロックウール板を下から溶融



放電後のロックウール板の表面

今後の展開
 実機レベルの装置を試作して実証試験を行うことを目標としています。水/セラミック電極の応用として、溶融にまで至る超高温状態のセラミックを反応場とした新たな材料創製プロセスへの展開も模索しています。
その他特記事項

電話
0897-37-7773
E-Mail
deguchi*ect.niihama-nct.ac.jp
ホームページ
http://www.niihama-nct.ac.jp/
掲載年度
2013年度