注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

GEAR5.0(研究成果の社会実装を通じた技術者教育の高度化)についてこちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
環境・エネルギー
分類

タイトル
脱希少元素を目指したCZTS薄膜太陽電池の開発
氏名
片桐 裕則
学校名
長岡工業高等専門学校
所属学科等
電気電子システム工学科
職名
教授
プロフィール写真
概要
化石エネルギー源の枯渇化と地球温暖化をはじめとした環境問題に対処するため、太陽光発電が大きな脚光を浴びています。低炭素社会を実現するため、資源的制約の無い太陽電池製造技術の開発が望まれています。そこで,汎用原料だけで構成できるCZTS薄膜を光吸収層とした、新型薄膜太陽電池の研究開発を行っています。
本文
<日本発の脱希少元素系太陽電池>
 エネルギー消費大国・資源小国である我が国にとって、脱希少元素を目指した太陽電池、すなわち、将来における持続的な生産可能性を視野に入れた太陽電池の研究開発には大きな意義があります。長岡高専では、光吸収層に希少元素を含有しない、汎用原料だけで構成できるCu2ZnSnS4(以下CZTS)系薄膜太陽電池の研究開発で世界をリードしてきました。1996年に0.66%の変換効率を報告して以来,作製手法の改良、作製条件の改善・最適化を通して12年間の研究で6.7%まで変換効率を向上させてきたのです。まさに,日本発・高専オリジナルの新型太陽電池と言って良いものです。

一気に花開くか?
 20世紀中にCZTS太陽電池に関する論文を発表していたのは,世界で僅か3機関(信州大学、長岡高専、シュツットガルト大学)だけでした。2007年頃より各国からの論文が散見されるようになり,2010年のIBMによるCZTSSe薄膜太陽電池の9.6%の発表で一気に研究機関が増加しています。現在では、CZTSは世界的にもポピュラーな研究対象となってきました。一気に花開くかもしれません。

CZTS系薄膜太陽電池変換効率の推移

今後の展開
 長岡高専では、NEDOによる委託研究を200312月より20083月まで実施し、変換効率を4%台から5.74%まで向上させる事に成功しました。その後の民間企業との共同研究で、6.77%の変換効率を達成しています。さらに、201010月よりJST-CRESTに採択され、産総研・龍谷大学との研究チームを構成し、5年間の研究期間でセル変換効率15%を目標として研究開発を実施中です。

国際会議(PVTC2013)招待講演


その他特記事項

電話
0258-34-9240
E-Mail
hiro*nagaoka-ct.ac.jp
ホームページ
http://denden.nagaoka-ct.ac.jp/
掲載年度
2013年度