注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

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高専発!「Society 5.0型未来技術人財」育成事業(GEAR 5.0/COMPASS 5.0)こちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
環境・エネルギー
分類

タイトル
ICTによる寒冷地向けハイブリッド暖房制御システムの研究開発
氏名
小山 貴夫
学校名
旭川工業高等専門学校
所属学科等
電気情報工学科
職名
教授
プロフィール写真
概要
ヒートポンプ暖房(以下 HP暖房)は最も効率が良く、与えたエネルギーの最大5~6倍の熱量が得られます。ただし、外気温が-20℃に達するような環境では、一般的な暖房機器よりも効率が悪くなります。この特性を考慮し、寒冷地でも積極的にHP暖房を利用して年間全体での使用エネルギーを削減するための研究開発を行っています。
本文
<ヒートポンプ暖房の特徴>
 ヒートポンプ暖房(いわゆるエアコン)は、与えたエネルギー以上の熱量が得られるため、省エネルギーやCO2排出削減に寄与することが期待できます。一方で、図1に示すように外気温が低くなると、熱をくみ上げるためのエネルギーが増加しHP暖房の効率は低下します。この特徴を考慮したうえで、特に寒冷な地域である旭川近隣などでも、図2に示すように最も寒い1月を除けばHP暖房が最も効率の良い暖房方法であることを確認しています。

     図1 HP暖房の外気温と使用電力の関係

 

図2 月単位で見たHP暖房使用電力量


<改善すべき課題>
 HP暖房を利用する上で、大きな課題が2点指摘されます。1点目は、図1にも現れている、霜取り運転による電力ピークの改善です。霜取り運転は、15分程度継続するため、消費電力が大きくなる要因となっています。また、北方型高断熱住宅でも、15分の暖房停止があると室温を維持するのは困難です。第2点は、電力利用の平滑化(ピークシフト)に対応することができない点です。本研究では、蓄熱暖房器を利用したハイブリッド暖房システムを用いて課題の解決を図っています。

<今後の展開>
 本研究は、総務省の競争的資金SCOPEにより実施し、プロトタイプの構築までを行いました。今後は、データ収集を積み重ねると共に、暖房機器メーカー様などと協力し、ソリューションとして提供することを目指します。また、独自仕様とならないよう、ECHONETLiteに準拠したソリューションとして開発を行ってゆく予定です。
その他特記事項

電話
0166-55-8021
E-Mail
koyama*asahikawa-nct.ac.jp
ホームページ
www.asahikawa-nct.ac.jp
掲載年度
2013年度