注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

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事例紹介

研究分野
材料・装置・デバイス
分類

タイトル
高機能酸化物材料の開発および光電子分光による電子状態解析
氏名
田中 博美
学校名
米子工業高等専門学校
所属学科等
電気情報工学科
職名
准教授
プロフィール写真
概要
省エネルギー材料としての応用が期待されている高温超伝導体の特性改善を行いました。具体的には、元素置換をトリガーとするナノ構造歪の制御を行い、流せる電流の上限値を向上させました。また、この特性改善において、光電子分光を用いた電子状態解析の知見をフィードバックさせました。これにより効率的なプロセスを実現しました。
本文
<酸化物高温超伝導体における臨界電流密度改善>
 究極の省エネルギー材料である超伝導体は、エネルギー枯渇問題が深刻化する現在、再び脚光を浴びています。特に、高温超伝導体は使用時の冷却負荷が小さいため無損失電力ケーブル等への応用が期待されています。

しかしながら、磁場中では臨界電流密度(Jcが急激に低下するため、実用化に向けて一層の特性改善が必要とされています。最近、高温超伝導体に存在する原子サイズの欠陥が、(磁場中で超伝導体を貫く)磁束量子を捕捉し、高いJcを実現できることが示唆されました。従って、『原子サイズ欠陥』を制御することにより、Jcを向上できると期待されます。この知見に基づき、我々は精密組成制御術を利用した原子レベル局所歪導入を行い、高温超伝導体のJc向上を試みました。

 その結果、Bi系高温超伝導体において局所構造歪を導入することで、Jcの改善に成功しました(図1)。本手法においては、Bi系高温超伝導体の構成元素の一つであるSrCaで置換しました。SrCaは同価数でイオン半径のみが異なっています。そのため、キャリア密度を変えること無く、構造歪を導入できます。この構造歪は磁束を強く捕捉するため、より多くの超伝導電流を流すことができます。なお、この元素置換が実際に生じていることは、X線光電子分光により明らかにしました(図2)
図1 臨界電流密度と局所構造歪の関係

図2 光電子分光による固溶置換の確認

<今後の展開>
 本研究で作製した高Jc-高温超伝導体を、高効率モータ、発電機、無損失電力ケーブル等に応用したいと考えています。
その他特記事項

電話
0859-24-5114
E-Mail
hitanaka*yonago-k.ac.jp
ホームページ
https://www.yonago-k.ac.jp/center/profile.php?seq=19
掲載年度
2013年度