注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

GEAR5.0(研究成果の社会実装を通じた技術者教育の高度化)についてこちらをご覧ください。

高専発!「Society 5.0型未来技術人財」育成事業(GEAR 5.0/COMPASS 5.0)こちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
機械
分類

タイトル
医療現場の安全化・効率化を実現するスマートハンドリングシステムを活用した自動仕分けシステムの研究開発
氏名
久池井 茂
学校名
北九州工業高等専門学校
所属学科等
制御情報工学科
職名
准教授
プロフィール写真
概要
医療現場のICT 化が強く求められているニーズに応え、注射薬の自動仕分けロボットシステムを医療関連機器メーカーと共同開発し、国内大規模病院に販売しました。本装置は、ロボットによる自動仕分けとカメラ認識による完全な自動処理システムを特徴とし、医療従事者の負担軽減と注射薬のトレーサビリティを実現しています。
本文
<注射薬のトレーサビリティシステムを創出>
 手術を受ける患者及び入院患者への薬剤処方は、患者の容体等により投薬中止となる場合があり、多いときには3割の処方が中止されるというデータがあります。薬剤は、使用済と未使用とに分別し、未使用薬剤は、在庫に戻す作業、使用済薬剤はレセプトに記入する作業が発生し、一連の作業は薬剤師等にとって多大な負担となっています。そこで、薬品が乱雑に置かれた状況から、一つ一つをピッキングできるスマートハンドリングを研究開発し、自動仕分けシステムの製品化に成功しました。
画像処理によるピッキング

使用済み注射薬仕分け装置

<医療従事者の負担軽減と医療効率の改善>
 システムを導入した医療機関においては、仕分け作業の自動化により、薬剤の在庫管理が正確になると同時に、手術室の回転数上昇が効果として表れています。煩雑な業務から解放され、患者が求めている業務へのシフトは、医療サービスの質向上につながります。また、トレーサビリティへの対応は、医療過誤の防止、安全安心な医療サービスの提供の面で、患者にとっても大きなメリットがあります。

<今後の展開>
 小型・高速化により、日本全国の医療機関への普及促進を図り、院内業務の効率化増進を目指します。本システムは、医療訴訟でニーズが高い米国にも展開が見込まれており、大学病院でトライアルの準備中です。また、欧州の世界最先端医療・介護環境の整ったスーパーホスピタル構想にも正式なプロジェクトとして認定されるなど、海外市場への展開も期待できます。
その他特記事項

電話
093-964-7259
E-Mail
kuchii*kct.ac.jp
ホームページ
http://w3-cise.kct.ac.jp/kuchii/
掲載年度
2013年度