注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

GEAR5.0(研究成果の社会実装を通じた技術者教育の高度化)についてこちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
材料・装置・デバイス
分類

タイトル
CVD法による高機能性光触媒フィルターおよびDSSC用酸化チタンの開発
氏名
長谷川 章
学校名
八戸工業高等専門学校
所属学科等
物質工学科
職名
准教授
プロフィール写真
概要
酸化チタン前駆体を経由した新しい合成法によって酸化チタン固定化光触媒フィルターとナノスフィアチタニア(NST)の合成に成功しました。光触媒フィルターは、高活性、低圧力損失で、抗菌作用も確認されました。また、NSTをDSSC電極に応用したところ、市販の酸化チタンペーストの4倍の色素吸着速度と高いPmaxを示しました。
本文
<酸化チタン固定化シリカフィルターの開発>
 酸化チタンは高い光触媒活性を示すことから、脱臭、防汚、抗菌等幅広い分野で応用されています。本技術は、加熱気化させたチタンアルコキシドをシリカ繊維表面に塗布したジオールに接触させる簡便なCVD法により、シリカ繊維表面に酸化チタン前駆体を形成後、熱処理して酸化チタン固定化シリカフィルター(TAS)を得るものです。TASDegussaP-25に比べて少量で高い光触媒活性を示すほか、酸化チタン担持量が微量であることから空気通過による圧力損失の増加は、ほとんど起こりません。

TiO2担持量と光触媒活性の関係

<ナノスフィアチタニアの色素増感太陽電池への応用>
 TASの合成手法をもとに、チタンアルコキシドおよびジオールを加熱気化させて気相中で反応させ、酸化チタン前駆体を生成させました。この前駆体を熱処理してナノスフィアチタニア(NST)を得ました。NSTを粉砕、ペースト化して色素増感太陽電池電極に応用したところ、ペースト材として実績のある国内A社製のペースト材に比べて、1)色素吸着時間が1/4に短縮、2DSSCPmax向上、3)電極の薄膜化が可能となりました。
NSTの色素吸着特性

<今後の展開>
 本技術によるTASを空気清浄機に用いることで装置の大幅な小型化が期待されます。また、平板ガラスや多孔質セラミックス等多様な形態の材料に対して光触媒機能性を付与することができます。
 NSTは、DSSC電極として優れた特性を有しており、今後、量産技術の開発により実用化が期待されます。
その他特記事項

電話
0178-27-7298
E-Mail
hase-c*hachinohe-ct.ac.jp
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掲載年度
2013年度