注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

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事例紹介

研究分野
材料・装置・デバイス
分類

タイトル
有機合成化学と霧を使った薄膜形成技術の融合による光・電子デバイスの開発
氏名
香取 重尊(左)、廣木 一亮(右)
学校名
津山工業高等専門学校
所属学科等
電気電子工学科
職名
講師、准教授
プロフィール写真
概要
従来の半導体デバイスのプロセスでは、大掛かりな装置が必要であり、消費されるエネルギーも大きく、使われる材料も生物や自然環境に影響を与えるものが少なくありません。われわれは、超音波によって発生するミスト(霧)を使って、省エネルギーで環境への負荷を極力抑えた新しい非真空プロセスの開発を行っています。
本文
ミスト(霧)を使った薄膜作製技術
 超音波によって原材料溶液を霧状にして、ガラス、金属、シリコンなどの多種多様な組成の表面に薄膜形成を行います。超音波噴霧の最大の特徴は液滴サイズにあり、空中を浮遊できるほど小さな液滴を作り出すことで、ナノスケールで均一な薄膜形成が可能になります。また、通常の塗布技術では不可能な同種溶媒を用いた場合でも、溶媒の蒸発タイミングを高度に制御できるため、はじめに形成した膜にダメージを与えることなく積層構造を作り出すことが可能になります。このような特長を活かし各種半導体薄膜を形成し、光・電子デバイスの開発を行っています。

材料合成からダイレクトに光・電子デバイスへ
 超音波による霧の発生には液体の表面張力、密度、超音波の周波数を考慮した条件が必要です。そこで重要なのが、目的の材料が適切な溶媒に溶けていることです。われわれは半導体の薄膜作製技術と有機合成という異分野の知識を融合し、材料合成と薄膜形成プロセスを直結した、新しい概念の半導体デバイスプロセスの開発に取り組んでいます。

今後の展開
 ミストを使ってナノスケールで薄膜の物性を制御し、高性能な光・電子デバイスを実現するため、以下の課題に取り組んでいます。
(1)超音波噴霧法に適した新しい半導体材料の開発
(2)太陽電池、有機EL、有機薄膜トランジスタなどへの展開
(3)高い耐久性を持ち、大気中でも安定して駆動できる薄膜形成技術の開発
図1 霧による成膜のモデル
           図1 霧による成膜のモデル


発光図2 スペクトルと成膜温度の関係
           図2 発光スペクトルと成膜温度の関係
その他特記事項

電話
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E-Mail
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2015年度