注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

GEAR5.0(研究成果の社会実装を通じた技術者教育の高度化)についてこちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
材料・装置・デバイス
分類

タイトル
スパッタリング法を用いた機能性薄膜の高速低温成膜技術開発
氏名
野口 大輔
学校名
都城工業高等専門学校
所属学科等
物質工学科
職名
准教授
プロフィール写真
概要
薄膜作製技術の1つであるスパッタリング法を用いて金属化合物体に代表される機能性薄膜の高速低温条件下での薄膜構造制御を可能とする成膜技術を開発しました。本技術は熱エネルギーによる制御から基板選択性を考慮しない指針に基づいた新規な制御手法であり、耐熱性に劣る有機系材料の基板上へ電子デバイスの作製を実現します。
本文
金属酸化膜の高速低温結晶化
 本研究室が開発した金属酸化膜の高速低温結晶化成膜法は併用式スパッタリング法を応用し、アモルファス表面(金属酸化膜)上に原子状酸素(ラジカル)励起を利用した核形成のステップとその核形成層の上に低温下(100℃以下)で結晶性を有する金属酸化膜を堆積させる2段階ステップの成膜手法を特徴としています。この手法を使って、高速低温条件下におけるラジカルを用いた薄膜成長(特に結晶成長)メカニズムの解明を進めています。現在までに高速(金属Rateと同等)低温(100℃以下)条件下で成長界面領域から 高い結晶性を有するTiO2光触媒薄膜の形成に成功し、光触媒特性結果からその有効性が立証されました。
図1 TEMによる薄膜構造評価と光触媒特性
   図1 TEMによる薄膜構造評価と光触媒特性

全固体型エレクトロクロミックディスプレイの開発
 電気化学的な酸化還元反応によってその光学特性が変化するというエレクトロクロミックディスプレイ(ECD:Electro Chromic Display)の開発を行っています。特に、固体電解質材料を用いた全固体型化や各種EC材料の機能性向上とその制御因子確立、さらには成膜速度向上および基板低温化といった生産技術的問題を解決した実用的な成膜技術の開発を進めています。
図2 併称式スパッタ法で作製した全固体型ECD
   図2 併称式スパッタ法で作製した全固体型ECD

今後の展開
 本技術は、従来のスパッタリング法における薄膜構造制御技術が抱えていた基板温度の低温化と成膜速度の高速化を克服できる新技術であり、物質と基板を選ばず、また処理時間が短いことから広い工業分野の製造ラインに組み込むことができます。


 
その他特記事項

電話
0986-47-1223
E-Mail
noguchi*cc.miyakonojo-nct.ac.jp
ホームページ
http://www.miyakonojo-nct.ac.jp/~c/staff/noguchi/noguchi.html
掲載年度
2015年度