注目研究

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 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

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高専発!「Society 5.0型未来技術人財」育成事業(GEAR 5.0/COMPASS 5.0)こちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
ライフサイエンス
分類

タイトル
三陸地域資源を活用した機能性素材・食品の開発
氏名
戸谷 一英
学校名
一関工業高等専門学校
所属学科等
物質化学工学科
職名
教授
プロフィール写真
概要
三陸地域資源であるイカの中骨からβキチンおよびβキトサンを調製、ナノファイバー化し、機能性食品、化粧品、再生医療、抗菌・抗ウイルス分野への応用を検討しています。生体親和性が高いβキチンナノファイバーは高い粘性と吸水性や正電荷を有することから、多様な物質を担持・徐放できる可能性があります。
本文
イカ中骨からいろいろな機能性素材が製造可能です
 三陸地域資源であるイカの中骨に30%程度含まれるβキチンは、N-アセチルグルコサミンを構成単糖とする多糖であり、セルロース系バイオマスと同様に直径3~5 nmのミクロフィブリル(キチン鎖数十本単位)が束になった構造をとっています。我々は中骨をトンスケールで収集し、HCl(脱灰)とNaOH(除蛋白)処理をしてβキチンとし、様々な機能性素材に変換する技術を開発して来ました(図1)。

図1 イカ中骨から製造可能なキチン系機能性素材
     図1 イカ中骨から製造可能なキチン系機能性素材


高い粘性と保水性を有するナノファイバーを創りました
 βキチンを乾式粉砕し、蒸留水中で湿式解繊処理(ウォータージェット処理)するとβキチンナノファイバーが得られます。βキチンを部分脱アセチル化したキトサンも同様にナノファイバー化可能です。
イカ中骨をHCl→NaOHの順番で処理(①)した場合、透明度や粘性が低く、ファイバー径が数十nm前後の解繊度の低いβキチンナノファイバーが得られます。一方、NaOH→HClの順番で処理(②)した場合は、透明度や粘性が高く、直径5 nm前後で高度なネットワーク構造を有するβキチンナノファイバーが得られました(電顕撮影、産総研関西センター)。

図2 部分脱アセチル化β-キチン・キトサンナノファイバーの調製
    図2 部分脱アセチル化β-キチン・キトサンナノファイバーの調製


今後の展開
・ナノファイバーに様々な機能性物質を担持させ、生理活性や徐放性を確認します。甲殻アレルギーの心配がないことから、化粧品、機能性食品分野への展開を目指します。
・抗菌・抗ウイルス分野へも展開します。マスクやエアフィルターを想定しています。

その他特記事項

電話
0191-24-4623(1F実験室兼居室)4675(2F居室)
E-Mail
ktotani*ichinoseki.ac.jp
ホームページ
http://www.ichinoseki.ac.jp/gyoseki/che/TotaniKazuhide.html
掲載年度
2015年度