注目研究

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 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

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事例紹介

研究分野
計測・分析
分類

タイトル
高信頼性を有するワイヤレス給電技術
氏名
佐藤 拓
学校名
仙台高等専門学校
所属学科等
電気システム工学科
職名
助教
プロフィール写真
概要
医療用植込み機器等へのワイヤレス給電では、安全性、安定性など極めて高い信頼性が要求される。特に、給電時の発熱抑制と充電状況の計測が最重要課題であるが、植込み機器のケース形状の工夫による効率向上、および充電状況の測定方法の開発において科研費を獲得して極めて重要な成果を挙げ、国内外からも注目されている。
本文
充電状況の測定方法の開発
 生体内に埋め込まれたペースメーカの充電状況をワイヤレス給電時に体外から計測するシステムとして、充電状況に対応して2次側インピーダンスが変化することに着目し、その変化を体外充電器から測定することで充電状況を推定する方法を開発した
(図1)。
    
  図1 充電状況推定システムの概要
          図1 充電状況推定システムの概要


 体外から測定可能な1次側の電気パラメータ(消費電力および1次電流)から、充電状況に対応する2次側インピーダンスを計測する手法を考案した。ここでの大きな課題は、伝送コイル間の金属ケースに生じる渦電流損によって計測誤差が生じることであったが、金属ケース有無での電力伝送データを解析し、渦電流損に相当する直列等価抵抗を組み込んだ新しい推定式を考案し、また、等価回路上からもその妥当性を確認した(図2)。現在はシステムの更なる高信頼性を目指して、1次側電気パラメータの変化から2次電流、2次電圧、更には位置ずれを推定する手法の確立を目指して取り組んでいる。

 図2 充電状況推定システムの検証
           図2 充電状況推定システムの検証
今後の展開
 提案する充電状況推定システムは受電側に新たなシステムを組み込む必要がなく、ワイヤレス機器の信頼性を向上させる付加価値として容易に導入可能であり、ユーザの利便性も向上する。部品点数の減少、産業廃棄物の減少、省エネ、機器の信頼性向上が期待でき、環境保全にも大きく貢献できるものである。他の機器(電気自動車、携帯電話、深海探査機、軍事機器)へのワイヤレス給電などにも広く応用でき、早期に実用化されるものと期待される。
その他特記事項

電話
022-381-0258
E-Mail
takus*sendai-nct.ac.jp
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掲載年度
2015年度