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物質・材料研究機構との研究の成果が学術論文雑誌に掲載されました

2019年10月17日 16時21分

社会実装を目指した高性能・安定性を両立させた中温作動型SOFC用アノード反応活性助触媒の関する研究が学術論文雑誌に掲載されました
 鶴岡工業高等専門学校 創造工学科 化学・生物コースの伊藤滋啓准教授(筆頭著者)、佐藤貴哉教授らはオリジナルに開発した混合伝導体酸化物BIZZOを固体酸化物形燃料電池(SOFC)のアノード助触媒として使用することで、アノード層内に反応活性サイトを形成し性能を向上させ、またBIZZO助触媒を添加することで長時間安定性を可能にすることを明らかとし論文として執筆した。
 この研究成果論文は米国の学術論文雑誌ACS Applied Energy Materialsに2019年07月29日付けで掲載された。本研究は鶴岡高専と物質・材料研究機構(NIMS)との間に締結されたMoUに基づく2年間のNIMSへの派遣時の研究成果(2016年度 伊藤滋啓助教(当時)筆頭著者の研究成果として、RSC Advancesに掲載。あわせて国立高専研究情報ポータルにて公表)を、さらに、社会実装化に向け発展させた内容である。SOFCデバイス内アノード層界面の機能性と安定性の向上を目指し、NIMSへの派遣期間終了後に、2018年度から2019年度の2年間、教員と学生のNIMSへの派遣を支援するNIMS連携拠点推進制度の支援をうけて、実施された協働研究成果をまとめたものである。なお、この成果は2019年度科研費の若手研究の助成にも繋がった。なお、本研究はK-arc内に設置されたCDS連携開発拠点のリサーチアドバイザーである物質・材料研究機構(NIMS)の森利之上席研究員と量子科学研究開発機構(QST)の山本春也上席研究員と協働研究・技術連携して行われたものである。
(論文は下記URLに掲載されており、概要を閲覧できます)

論文タイトル:「Design of active site at hetero-interface between brownmillerite type oxide promoter and fluorite cubic ZrO2 in anode of intermediate temperature SOFCs」

全著者:Shigeharu ITO, Toshiyuki Mori, Akira Suzuki, Hiroshi Okubo, Shunya Yamamoto, Takaya Sato, Fei Ye

URL  https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acsaem.9b00864
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 SOFCは900~1000℃と高温作動であり、数ある燃料電池の中でも発電効率が最も高いなど多くの長所を持っている。最近では、ステンレスインターコネクターの使用が可能な中温(700℃)作動SOFCの研究開発が盛んに行われている。中温作動を可能にするため固体電解質の薄膜化について多く研究されている。

 薄膜デバイス化研究では、アノード支持薄膜デバイス化が検討されている。アノード支持薄膜デバイスはアノード支持体の厚みが0.7mm程と厚くなるため電池の内部抵抗が高くなるが、NiOとYSZの最適組成を選ぶことで、活性サイト(三相界面)を、厚いアノード層内に増やすことができる。しかし、10時間以上の運転で性能低下と、水素還元による急激な性能回復が繰りかえしおこり、大きく性能が低下する。薄膜デバイス研究の場合において、性能と安定性の間のトレードオフの問題が生じる。本研究ではオリジナルの酸化物を反応活性助触媒として活用し、アノード反応高活性化・発電性能の革新的向上・性能安定性の飛躍的改善を目的とし行っており、このような取り組みを行うことで「革新的高性能と高い安定性を両立」した社会実装を目指した中温作動型安定化ジルコニア系燃料電池の創製を目指している。