注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

GEAR5.0(研究成果の社会実装を通じた技術者教育の高度化)についてこちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
情報・通信
分類

タイトル
RFIDを埋め込んだ点字ブロックと準天頂衛星による高精度GPSを用いた視覚障害者向けナビシステム「PullDog」
氏名
松林 勝志、 山下 晃弘
学校名
東京工業高等専門学校
所属学科等
情報工学科
職名
教授、助教
プロフィール写真
概要
長距離通信可能なRFIDタグ、準天頂衛星みちびきによる高精度GPSを使用した視覚障がい者向けナビシステムを開発しました。点字ブロックにRFIDを埋め込み、視覚障害者を目的地まで誘導します。八王子市の協力で京王線北野駅南口の点字ブロックにRFIDを埋め込み、都立盲学校の協力も得て実証実験を行っています。
本文
システム概要
 システム構成を図1に示します。スマートフォン、リストバンド型操作スイッチ、RFIDリーダ、「みちびき」受信機、力覚デバイス、制御マイコンと、モバイルバッテリから構成されています。スマートフォンに各機器をUSB接続することでシステムが自動起動し、音声認識とリストバンド上の2つのボタンだけで操作できます。点字ブロックに埋め込まれたRFIDにより屋内外、点字ブロックのない屋外ではみちびきによりピンポイントな測位と音声ナビゲーションを実現しています。

   図1 PULL DOGシステム構成
           図1 PULL DOGシステム構成

京王線北野駅での実証実験
 京王電鉄(株)の協力を得て、北野駅にて実証実験を行いました(図2)。電車を降りたホームから、全盲の視覚障がい者が一人で、ホームから改札、改札からバス停まで移動できることを確認するとともに、使い勝手に関して提案をいただいたほか、「目的地までの総距離や次に曲がる点までの距離がアナウンスされ安心感がある」等の高い評価をいただきました。

   図2 京王線北野駅での実証実験の様子
           図2 京王線北野駅での実証実験の様子

今後の展開
 PULL DOGは、報道や視覚障がい者向け機器の展示会への出品等を通じ大きな反響をいただいています。現在、点字ブロックや表示板等のメーカーにRFIDをあらかじめ組み込んだ製品の試作をお願いしています。東京オリンピック・パラリンピックに関連して今後インフラの整備や再開発が進みます。健常者と視覚障がい者が共に快適に利用できるユニバーサルデザインのオフィス・施設に、インフラとして採用されることを目指し働きかけを進めています。
その他特記事項

電話
042-668-5170 / 042-668-5134
E-Mail
matsu*tokyo-ct.ac.jp, yamashita*tokyo-ct.ac.jp
ホームページ

掲載年度
2015年度