注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

GEAR5.0(研究成果の社会実装を通じた技術者教育の高度化)についてこちらをご覧ください。

高専発!「Society 5.0型未来技術人財」育成事業(GEAR 5.0/COMPASS 5.0)こちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
環境・エネルギー
分類

タイトル
世界最速起動を実現するバッテリー駆動型X線撮影器の開発
氏名
石飛 学
学校名
奈良工業高等専門学校
所属学科等
電気工学科
職名
准教授
プロフィール写真
概要
在宅医療、災害時の現場治療や動物医療に高性能な携帯型X線撮影器が求められています。従来器の課題は、①携帯型にもかかわらず商用電源が必要、②撮影ぶれを減らすより高速な起動と短時間撮影の実現、③小型・軽量化 等が挙げられます。そこで、企業(ミカサ㈱)と連携して上記課題に取り組み、新しい装置の開発に成功しました。
本文

 高齢化が進む日本において、在宅医療を可能とする携帯型医療機器が注目されています。また東日本大震災においてその必要性が顕著となり、非常時にどこへでも出動できる医療機器への期待は高まる一方です。

 携帯型のX線撮影器は、馬や犬といった動物の治療や医療設備が整っていない地域で既に活躍していますが、以下の課題を抱えています。

 ①瞬間的大電力を発生しなければならないため、携帯型でありながら商用電源を要し、使用場所が制限される。

 ②X線被爆量の低減と心臓など動く臓器の撮影ぶれを抑制するため、より高速かつ安定した動作が要求される。しかし、X線管の起動制御が難しく、開発者の経験則に頼っている。

 ③上記課題の解消方法はあるが、待機電力の増大や大型化を伴い、携帯型に適さない。

 これらの課題を同時に解決するには、X線管を知り、最適な制御で効率よくX線を照射させる必要があります。何より過去の経験則をもとにした設計を越えなければなりません。まず、これまで明文化されていないX線管の詳細な動特性を明らかにしました。これをもとに最適な制御方式を提案し、X線管がもつ最大の起動速度を安全に引き出すことが可能となりました。提案方式は待機電力を要せず、必要最小限の電力でX線管を起動できるため、さらに昇圧回路部に工夫を加え、小型なままバッテリ駆動も実現することができました。

イルカのX線撮影




X線撮影器における撮影ぶれ



イラク野戦病院にて


<今後の展開>
 今後、回路方式の更なる改善を行い、より小型・軽量で使いやすいX製撮影器を実現したいと考えています。
その他特記事項

電話
0743-55-6095
E-Mail
ishitobi*elec.nara-k.ac.jp
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掲載年度
2013年度