注目研究
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国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。
研究ネットワークについて:日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。
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高専発!「Society 5.0型未来技術人財」育成事業(GEAR 5.0/COMPASS 5.0):こちらをご覧ください。
事例紹介
研究分野
環境・エネルギー
分類
タイトル
マイクロ波加熱と触媒機能を融合した革新的水素製造プロセスの開発
氏名
宮越 昭彦
学校名
旭川工業高等専門学校
所属学科等
物質化学工学科
職名
教授
プロフィール写真
概要
本研究は、マイクロ波発生器と触媒を組み合わせて、低炭素資源(主にメタンガス)から直接的に高純度水素に転換させる化学反応プロセス(天然ガス改質器)を開発しています。最近、高性能触媒を見出し、メタンから90%以上水素に転換させてCOやCO2をほとんど副生させずに30時間以上安定稼働させることに成功しました。
本文
<研究背景>
政府は2015年度を目標に水素エネルギー社会の実現を計画して、燃料電池自動車普及や水素ガスステーション用インフラ整備を進めています。この計画の壁となっているのが、“高純度水素の製造技術”です。とくに天然ガスやバイオガスに代表される低炭素資源から水素を生産する技術が切望されており、次世代エネルギーのカギを握ると考えられています。また、日本は温室効果ガスの大量排出国でもあります。本研究では、温室効果の高いメタン(CH4)から、CO2を排出せずに高純度水素と機能性炭素を製造できる段階に近づきつつあります。図1には本研究技術が社会に貢献できる事柄を相関図として表してみました。
図1 本研究技術が貢献できる社会的課題との関係
<本研究の特徴と進捗状況>
手掛けている天然ガス改質器は、実用的見地から堅牢かつ単純な機構で基本性能が発揮できるものが望ましく、外観が電子レンジのイメージです。このサイズで車載化やエコ住宅用燃料電池の前処理器として普及できると考えています。水素ステーション用には冷蔵庫規模を想定しています。図2は電子レンジタイプの試験装置で得たメタンから水素(CH4→2H2+C)の反応データです。また、この反応ではスス(炭素成分)が発生しますが、触媒性能への影響がほとんどなく、反応試験後に回収した成分では導電性が高く、染料などの吸着性にも優れることがわかりました。高品位な電極素材や環境材料としての応用も期待しています。
図2 開発したメタン転換触媒の水素収率と生成ガス選択率
<今後の展開>
ラボレベルから実用レベルの検証段階に入ると考えています。現在、1)スケールアップした条件での実性能やエネルギー効率からの採算性,2)天然ガスやバイオガスの化学成分を考慮した実用触媒の開発,3)燃料電池等と接続させてエネルギー製造システムとしての完成度を高めること、を計画しています。
政府は2015年度を目標に水素エネルギー社会の実現を計画して、燃料電池自動車普及や水素ガスステーション用インフラ整備を進めています。この計画の壁となっているのが、“高純度水素の製造技術”です。とくに天然ガスやバイオガスに代表される低炭素資源から水素を生産する技術が切望されており、次世代エネルギーのカギを握ると考えられています。また、日本は温室効果ガスの大量排出国でもあります。本研究では、温室効果の高いメタン(CH4)から、CO2を排出せずに高純度水素と機能性炭素を製造できる段階に近づきつつあります。図1には本研究技術が社会に貢献できる事柄を相関図として表してみました。
図1 本研究技術が貢献できる社会的課題との関係
<本研究の特徴と進捗状況>
手掛けている天然ガス改質器は、実用的見地から堅牢かつ単純な機構で基本性能が発揮できるものが望ましく、外観が電子レンジのイメージです。このサイズで車載化やエコ住宅用燃料電池の前処理器として普及できると考えています。水素ステーション用には冷蔵庫規模を想定しています。図2は電子レンジタイプの試験装置で得たメタンから水素(CH4→2H2+C)の反応データです。また、この反応ではスス(炭素成分)が発生しますが、触媒性能への影響がほとんどなく、反応試験後に回収した成分では導電性が高く、染料などの吸着性にも優れることがわかりました。高品位な電極素材や環境材料としての応用も期待しています。
図2 開発したメタン転換触媒の水素収率と生成ガス選択率
<今後の展開>
ラボレベルから実用レベルの検証段階に入ると考えています。現在、1)スケールアップした条件での実性能やエネルギー効率からの採算性,2)天然ガスやバイオガスの化学成分を考慮した実用触媒の開発,3)燃料電池等と接続させてエネルギー製造システムとしての完成度を高めること、を計画しています。
その他特記事項
電話
0166-55-8045
E-Mail
miyakosi*asahikawa-nct.ac.jp
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掲載年度
2013年度