注目研究

注目研究

 国立高専の注目研究を、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造技術、材料・装置デバイス、機械、建築・土木、情報・通信、計測・分析、自然・科学、人文・社会の10の分野に分けて紹介します。

 

研究ネットワークについて日本全国に設置された51の国立高専に所属する研究者がネットワークを形成して、さまざまな分野で新産業につながる研究開発を行っています。全国各地で研究している研究者が連携することで、難解な技術問題に対して複合融合的なアプローチを行い、答えを見いだします。

GEAR5.0(研究成果の社会実装を通じた技術者教育の高度化)についてこちらをご覧ください。

事例紹介

研究分野
環境・エネルギー
分類
重点研究ネットワーク
タイトル
海洋石灰微細藻類を用いた持続的炭酸固定装置の開発
氏名
遠藤 博寿(代表研究者)
学校名
鶴岡工業高等専門学校
所属学科等
創造工学科
職名
准教授
プロフィール写真
概要
我々の研究グループは、「円石藻(えんせきそう)」というCaCO3を形成する海洋微細藻類のポテンシャルを活かし、持続的にCO2を固定する装置の開発を進めています。円石藻の生産する脂質はバイオ燃料に、またCaCO3は医薬品などの原材料として活用し、無駄なく生産的な装置の社会実装を目指します。

参画高専:鶴岡工業高等専門学校(代表校) 宇部工業高等専門学校
本文
 
<社会課題>
  • 2050年のカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向け、現在我が国の学術界・産業界は多大な努力を期待されている。
  • しかしながら、現在研究されているCO2吸収技術の大半は、アミン等の無機化学反応によるものである。
  • また、既存の技術はCO2吸収材の再利用において熱処理を要するなど、CO2吸収/排出の実質的な収支において不明な点が多い。
  • 以上の点を克服するために、微生物を有効活用した持続的なCO2吸収技術の開発が喫緊の課題であると考える。

   

<シーズの内容・提供できること>
  • 海と海洋微生物のポテンシャルを最大限に利用したCO2吸収装置
  • 遺伝子組換えに依存しない新たな遺伝子操作技術
  • CO2吸収能を強化した藻類変異株
  • 高速リアルタイム藻類細胞モニター技術

  •  要素技術
    • 海洋生物の遺伝子解析
    • 海洋生物の遺伝子組換え
    • 海洋生物のゲノム編集
    • 海洋生物のエピゲノム編集

   

 <もたらされる効果~想定する活用例や市場等>

  • 本研究では、10トン規模の藻類培養槽をもつ装置を開発する。この規模の装置を1年間稼働することにより、最低1.9トンのCO2の固定が見込める。
  • また、家庭用として2.5トン規模の装置の開発も視野に入れており、この規模の装置一台で一般家庭の年間CO2排出を最低15%は削減できる見込みである。
  • 本研究では、CO2吸収およびCaCO3形成機能を高めた変異株を創出し、知財化を行う。
  • 本研究では、リアルタイムで藻類細胞の状態(脂質量、クロロフィル量、CaCO3量など)を解析する装置を開発し、商品化する。
  • 本研究では、遺伝子組換えに依存しないゲノム編集技術を開発し、近年大きなマーケットに成長しつつあるゲノム編集市場に参入する。

   

図1

 

代表研究者リサーチマップ:https://research.kosen-k.go.jp/plugin/rmaps/details/11/122/read0102524

その他特記事項
特許出願済み
電話
042-668-5495  (KRAセンター)
E-Mail
KRA-contact@kosen-k.go.jp
ホームページ
https://research.kosen-k.go.jp/plugin/rmaps/details/11/122/read0102524
掲載年度
2023年度